そもそも「換気」ってとは?どんな目的で行うの?

家づくりにおける換気の基本!24時間換気システムの重要性と室内空気をキレイに保つ工夫とは?

最近ではウイルス感染症の流行に伴い、「換気」という言葉が頻繁に使われるようになりましたよね。

そもそも換気とは、室内から排出された汚れた空気を新鮮な空気に入れ替えることを指しますが、 換気が必要な理由はさまざまあります。

 

  • 空気環境をきれいにするため
  • ニオイや湿気を排出するため
  • 室内の熱を排出するため
  • キッチンなど燃焼ガスを排出するため
  • 室内の汚染物質を排出するため

など。

 

このように換気は、定期的に行うことで住環境をより快適に保つという役割を担っていますから、私たちが暮らすうえで非常に重要な要素なんです。

そこで今回は、どうしたら効率よく換気を行うことができるのか、また換気をしないとどうなってしまうのか?その必要性などについて詳しくご紹介します。

なぜ換気をしないといけないの?換気の必要性は?

家づくりにおける換気の基本!24時間換気システムの重要性と室内空気をキレイに保つ工夫とは?

なぜ換気をしないといけないのでしょうか?

まずは換気の必要性について見ていきましょう。

【室内に湿気がこもってカビが生えやすくなるから】

換気が正しく行われていないと、部屋の中に湿気がこもってしまいますよね。

特に湿度の高い夏場は要注意!

また、お風呂場や脱衣所などの水回りも湿気が溜まりやすい場所ですから注意したいです。

 

このような湿気の多い場所というのは、結露やカビが発生しやすく、カビをエサにして繁殖するダニも増殖しやすくなってしまいます。

カビやダニが多く存在する室内は、アレルギー性鼻炎などの健康被害のリスクが高まるため、換気を定期的に行い室内の空気を清浄化することはとても大切なことなのです。

【シックハウス症候群のリスクが高まるから】

カビやダニはもちろんですが、汚染された室内の空気中には、目には見えない様々な物質が浮遊しています。

 

たとえば、

・ホコリなどのハウスダスト

・花粉

・ウイルスや細菌

・ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物

などです。

 

このような物質が部屋の空気中に溜まってしまうと、先にご紹介した「アレルギー性鼻炎」や「喘息」などを引き起こしやすくなります。

特に注意したいのが、近年非常に注目を集めている「シックハウス症候群」。

 

シックハウス症候群とは、その名の通り住宅が原因で起こる疾患のこと。室内の汚染された空気を吸い続けることで引き起こされる様々な体調不良のことを指します。

大きな特徴は、他のアレルギー性疾患と違い、原因となる建物の外に出ると症状がなくなる(または緩和される)ことです。

このシックハウス症候群は、気密性能の高い住宅が増えたことにより、室内の汚れた空気が外に排出されにくくなったことで発症する人が多くなったと言われています。

ひどい場合には、せっかく建てた家に住めなくなってしまうこともあるのです。そう考えると、空気をキレイに保つことがいかに大切なことか、わかりますよね。

【一酸化炭素中毒になる恐れもあるから】

寒い地域では、よく灯油や石油などを使った暖房器具を使用しているご家庭もありますよね。これらの暖房器具は、部屋の中の酸素を利用して燃焼を促し、暖かい空気を放出しているため、換気を怠ることで徐々に酸素がなくなり、正しく暖房器具が燃焼しなくなってしまいます。

場合によっては、一酸化炭素中毒になることもあるので定期的な換気は必要なんです。

 

効率の良い換気の方法とは?

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気密性の高い住宅が増えている今、より効率的に換気を行うことで、上手に空気の入れ替えを行うことができます。

効率の良い換気の方法について知っておきましょう。

【窓を開けて風の通り道をつくる】

家の中で風の通り道をつくることが効率の良い換気のポイントです。

風の通り道をつくる最も手軽な方法は、窓を開けるということですが、単に窓を開けたのでは意味がありません。

 

■なるべく離れた場所にある2箇所以上の窓を開ける

■対角線上にある窓を2箇所以上開ける

■高低差のある窓を2箇所以上開ける

 

 

つまり、空気が入る場所と出る場所をしっかりつくってあげるということが大切なのです。

もし、1箇所しか窓を開けることができないのであれば、サーキュレーターや扇風機を活用しましょう。

 

このとき、サーキュレーターや扇風機を室内に向けるのではなく、窓に向けて動かすことが重要です。

サーキュレーターや扇風機を窓に向けると、部屋の内側の空気を外へ効率よく排出することができます。

 

【換気扇を活用する】

どこの家庭にもあるキッチンの換気扇。

キッチンの換気扇は、排気量が非常に大きいため、効率良く換気を行うことができます。

 

コツは、キッチンから離れた窓を開けた状態で換気扇を回すこと。

そうすると、より空気の流れができるので、効率よく換気を行うことができますよ。

【給気口の定期的な清掃を行う】

給気口にホコリが溜まった状態だと、正しく空気の入れ替えを行うことができません。

汚れた給気口を通っては、せっかく取り込んだきれいな空気も汚れてしまいますよね。

定期的な清掃を行うことも忘れずに行いましょう。

意外と知らない!「24時間換気システム」の常時稼働

家づくりにおける換気の基本!24時間換気システムの重要性と室内空気をキレイに保つ工夫とは?

住宅の高断熱高気密化が進んだことにより、法律で設置が義務化された「24時間換気システム」。24時間換気システムとは取り付けた給気口から外の新鮮な空気を取り込んで、排気口から排出する仕組みですが、実は意外と正しく稼働させていないご家庭が多いんです!

 

というのも、24時間換気システムを常時稼働させると…

「電気代が心配」

「24時間換気を稼働させると、冬は寒さが気になる」

「音が気になる」

などの理由から、スイッチをオフにしてしまうことがあるようです。

 

しかし、24時間換気システムは強制換気を行っており、1時間に室内の半分の空気を入替ていますから、これをストップしてしまうと効率よく換気ができない可能性があるので注意しましょう。

 

【24時間換気システムの電気代は?】

一般的な住宅で使用されている機械換気の種類は、給気も排気も機械を用いて行う「第1種換気」と、排気のみを機械で行う「第3種換気」の2つです。

 

どちらも24時間常時稼働させていたとしても、月々150~500円程度の電気代ですから、実はさほど気になる費用負担ではないのです。

これを節約し、シックハウス症候群などの健康被害が生じたほうが余程高い費用と大きな精神的ストレスを感じるでしょうから、電気代が上昇するご時世であっても常時稼働させるようにしましょう。

【24時間換気システムでの寒さ対策は?】

どうしても寒さが気になるときは、室内のCO2発生濃度にも気を付けながら 給気口カバーを活用してみましょう。

ただし、空気の流れを完全にシャットアウトしないように気を付けてください。

 

また、必要に応じて給排気の風量を「強」から「弱」に変更するなど給排気量の調整をすることも大切です。

【24時間換気システムの音が気になるときは?】

24時間換気システムの稼働音が気になる場合は、一度給気口や排気口の清掃をしてみましょう。ゴミやホコリが詰まっていると、騒音の原因になることがあります。

また、場合によっては機器そのものが故障していることもあるので、気になる際は点検や修理を依頼してみるといいかもしれませんね。

家づくりに取り入れたい換気の工夫

家づくりにおける換気の基本!24時間換気システムの重要性と室内空気をキレイに保つ工夫とは?

換気の正しい知識を得たなら、家づくりに是非とも活かしたいですよね。

これから家を建てるという方は、以下を参考に換気しやすい家づくりをしましょう。

【吹き抜けをつくる】

開放感があり、見た目もおしゃれな吹き抜けは、近年人気の間取りですが、それだけでなく風の通り道をつくりやすいというのもメリットの1つです。

 

基本的に空気は温められると軽くなって上昇し、冷たくなると凝縮して降下する性質があります。

それを利用して風の通り道をつくるのが「重量換気(または温度差換気)」です。

 

重量換気を正しく行うためには、吹き抜けをつくり、家の高い位置と低い位置にそれぞれ窓を設けます。

すると、低い位置から冷たい空気が入り込み、家の中を通って温まった空気が高い位置から出ていきます。

家の中の空気がこもらずに、常に循環していくので、結露の発生などを極力抑えることができるでしょう。

【南北対角線上に窓をつくる】

季節や地域によっても多少の差はありますが、日本は基本的に、南から北にかけて風が吹くと言われています。

そのため、家の南側と北側に窓を設けると、風の通り道ができやすいのでおすすめです。

【気密性の高い家づくりをする】

そもそも、気密性が低く隙間だらけな家というのは、換気効率が非常に悪いもの。

外の新鮮な空気を取り込み、汚れた室内の空気を出そうとしても、家じゅうの隙間から空気が逃げてしまいます。

内断熱外断熱を正しく施工し、気密性の高い家づくりを目指しましょう。

 

気密性が高い、低いというのは、建築中も中間測定し、最終的には完成してから専用の機材を用いて測定し、判断されます。断熱性能と異なり「実測値」ですから、建て終わってみないとわからないのです。

ですから、依頼する施工会社がどのくらいの気密性能を基準としているのかを確認してから施工を依頼すると安心ですよ!

 

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正しい換気方法を知って家の中を心地良い空間にしよう

家づくりにおける換気の基本!24時間換気システムの重要性と室内空気をキレイに保つ工夫とは?

換気を正しく行うことは、家の中の空気を常にキレイに保つということ。

人は、食べ物や飲み物を口にする以上に空気を口にしている割合の方が圧倒的に多いですから、空気をキレイにすることが健康を維持することにもつながるのです。

 

窓を定期的に開けて行う自然換気はもちろんですが、24時間換気システムを常時稼働することもとても大事なこと。

今回ご紹介したような正しい換気方法をしっかりおさえて、日々の暮らしに取り入れ、家族の健康を守りましょう。

 

私たち無添加計画の家づくりでは、家の中の空気をキレイに保つ工夫がたくさんされています。

たとえば、調湿効果の高い無垢材や漆喰と言った自然由来の建材を使うことで、結露やカビ・ダニの発生を防いだり、合板フローリングやビニールクロスといった化学物質を発生させる新建材を使わないことでシックハウス症候群を防いだり。

些細なことのように感じますが、この1つ1つが本当の快適さにつながります。

 

これから家づくりをしようとしている方は、換気を正しく行うことに加え、そもそも空気を汚さない家づくりを検討してみてはいかがでしょうか。