設計・プランニングの進め方

【web小冊子】設計・プランニングの進め方

無添加計画では、家づくりを始めるに当たって、担当する設計士がお客様のお宅に訪問させていただき、「暮らしインタビュー」を行っています。現在の生活風景や、ライフスタイルを実際に設計士自身の目で確認させていただいた上で、お客様のご要望をお伺いするというものです。

そして、これを基に、設計士が平面図・立面図などの図面や、CGなどでイメージ図を作成します。

よりリアルな完成イメージ図をお客様にご提示することで、わかりやすく、スムーズ、かつ入念な打合わせを行います。

本誌では、無添加計画の家づくりにおける、設計・プランニングの進め方についてより詳しく解説します。お話させていただくのは、これまで200軒近くの自然素材の家を手がけてきた、一級建築士の富谷渉です。

「暮らしインタビュー」で、今の暮らし方を知り、ご要望を具現化する

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マイホームを建てるとなると、どうしても理想ばかりが膨らんでしまい、実際の暮らし方とのギャップが大きくなりがちです。「散らかしたくなくて収納スペースをたっぷり設けたけれど、実際は使っていないので他のことにスペースを使えば良かった」などと後悔しないためにも、現在の暮らし方を確認させていただきながら、ご要望を伺うようにしています。

まずは、必要なお部屋の間取りや広さから、現在、所有されている家具・家電、これから購入予定の家具・家電まで細かくお聞きして、新しいお住まいで、どういう空間に、どんな風に暮らしたいかを具体的にしていきます。理想と現実のギャップを埋めながら積み重ねていくことで、プランを具現化していくイメージです。

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「暮らしインタビュー」にかける時間は設計士によりますが、私の場合は、3~4時間かけています。そのうち、2時間くらいは雑談です。しかし、私は、この雑談が大切だと思っています。趣味の話でもどんな話でも、お客様のことを深く知る手掛かりになるからです。家づくりに関してだけでも、照明、テーブル、お花、食器など、話題には切りがありません。本当なら、1泊させていただいて、暮らしのすべてを拝見したいくらいです。

「暮らしインタビュー」では、お客様のプライベートに深く入り込んでいくので、心理的な距離もグッと縮まります。信頼関係を深めるためにも、とても大切な工程です。聞ける情報が5なのか、10なのかによって、出来上がるものの完成度も違ってきてしまうので、お客様とお互いに垣根を取り払い、包み隠さずお話できればと思っています。

計画地についてあらゆる角度から調査し、最適なプランを提案

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設計士は、お話を伺いながら、「お隣に大きな窓があるので、リビングはそこを避けて配置しましょう」などと、その場でアドバイスさせていただいています。私たちは、ご要望をお伺いしながら、その場で的確なご提案ができるよう、事前に、その土地の状況や環境、風向き、陽当り、隣接する建物との関係など、計画地についてあらゆる角度から調査をしてからインタビューに臨みます。

そういう意味では、ルールと現実と、ご要望をすり合わせる作業をやっているだけなのかもしれません。設計士はアーティストではないので、奇抜なデザインを主張することはまずありません。ルールの中で整えていくというイメージです。

極端な例ですが、「南側の壁全面に絵を掛けたい」と言われたら、「陽当りのいい南側に絵を掛けたら暗くなってしまいます」というお話をします。専門知識をもって、家づくりのセオリーのようなものを基に、ご要望を調整していくのです。

また、周辺環境なども考慮しなければなりません。「車の量が多い幹線道路に面しているので、道路側に出入口を作らない方がいい」「目の前が通学路になっているので、道路沿いにリビングの大きな窓を作ったらプライバシーが守られるか心配」というような情報を提供しつつ、お客様のご要望とすり合わせていけば、おのずとプランが固められていきます。

こうした「暮らしインタビュー」を基に図面を作成し、およそ2~3週間後にお客様にご提案しています。当社では、誰でもひと目見てイメージしやすいように、平面だけでなく3D画像データと模型も併せてご用意しています。画面の中で3D画像データを展開し、おうちの中を歩いて回っていただくようにご案内しています。また、私たち設計士としても、細部まで想定していないと3Dが作成できないため、初回から、高い完成度にもっていくことができるというメリットもあります。だからこそ、「暮らしインタビュー」は真剣勝負です。

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設計図には必ず家具・家電を配置する

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漠然としたプランにならないように、設計図には、所有しているものから、購入・製作予定のものまで、配置する家具をすべて書き込みます。例えば、今住んでいる家のリビングが18畳で、もう1つテーブルが置きたいから、新しい家では20畳にしたいというご要望があったとします。しかし、いざ、テーブルを置いてみると、テーブルとソファの間を通れないなどの不具合が起こるケースもあります。広さしか考えていないとこうしたことが起こります。

コンセントの位置は、建物の完成後に変更するのは大変なので、家電の配置に合わせた配線計画も重要です。そのため、テレビから冷蔵庫、オーブン、電気ポット、それから、電気シェーバーや電動歯ブラシの位置まで、事細かにヒアリングしていきます。

電気シェーバーの位置まで決めるのかと驚かれることもありますが、これによりコンセントの位置も決まります。例えば、二段目の棚に置くとすると、コンセントの位置は床から1・2mなど定まります。

家に暮らしを合わせるか、暮らしに家を合わせるか

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新しい家をつくる時は、〝家に暮らしを合わせる〟べきでしょうか。それとも、〝暮らしに家を合わせる〟べきでしょうか?

〝家に暮らしを合わせる〟というのは、家を建てるのをきっかけに、暮らし方を変えるということです。例えば、玄関の土間にちらかりがちだった靴を、シューズクロークをつくってちゃんとしまう習慣をつけようというようなことです。

しかし、これまでの経験上、暮らし方はなかなか変えられるものではありません。モノが散らかりがちだから、たくさんしまえる収納が欲しいとスペースをつくっても、結局は、書類やリモコン、なぜか電卓まで…、ダイニングテーブルに積み重なっていったりします。ダイニングテーブルにモノを置きたくなくてパントリーをつくったものの、やはり、ダイニングテーブルに買い物したものが置きっ放しになっているなんてことも…。こういうケースを見ると、〝家に暮らしを合わせる〟よりも〝暮らしに家を合わせる〟、つまり、これまで住んでいた家での暮らし方を変えない方が良いような気もします。

しかし、新しい家を建てる時は、暮らし方を変える大きなチャンスであることは事実です。私自身も、家を建てることで暮らし方を変えることができました。設計時に、収納計画をまとめて家具を最小限にし、〝モノを減らす・持たない暮らし〟を実現したのです。私たちも、無理がないように暮らし方を変えられるような工夫をご提案しますので、これを機に、チャレンジしていただくのも良いかと思います。

特に、お引っ越しは、思い切ってモノを減らす良い機会です。捨てられないまま、新居のクローゼットにしまい込んでしまうと、おそらく、手を付けられることはないでしょう。

私たちは、収納計画を立てる際、まずは、収納の状況を確認し、写真も撮らせていただきます。クローゼットであれば、衣類の枚数ではなく、ボリュームを見て判断します。暮らし方に合わせた収納を考えるためです。ただし、すべてのモノを収めるように設計するのではなく、〝家に暮らしを合わせる〟方向に寄せるべく、整理収納についてもアドバイスさせていただいています。また、がっちり決め込んでしまうと、ライフスタイルに変化があった時やモノが増えた時などに対応できないため、固定棚ではなくて可動棚にしたり、パイプの取り外しができるようにしたり、ある程度、自由度を持たせるような工夫もしています。

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ニューノーマル時代の家づくり

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新型コロナウイルス感染症の流行を機に、暮らし方も大きく変わりました。そのため、当社でも、玄関に手洗い場を設置したり、玄関から洗面所へ直行できる動線を確保したり、外から持ち込まない工夫をするなど、新しい生活様式に合わせた家づくりにも対応しています。

リモートワークになった方もいらっしゃるので、ワークスペースやスタディルームなど、独立したスペースが必要かというのも必ず確認します。私も、新型コロナウイルス発生以前に、自宅にワークスペースをつくりましたが、やはり、つくって良かったとしみじみ思います。独立したスペースなので、家族に気兼ねすることなく集中して仕事ができますし、リモート会議でもイヤホンなしで音を気にせず話ができます。

その他、ステイホーム時間を有意義に過ごせるよう、おうちでキャンプ気分が楽しめる、屋内と屋外がシームレスにつながる空間づくりなどもご提案させていただいています。

都心であっても、コンパクトな敷地でも、建物だけでなく屋外も含めたプランを充実させることはできます。お客様が計画を検討されている敷地の中で、より良いプランを考えるのが設計士の仕事なので、どんな土地でも、ご希望等、ご相談いただければと思います。

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設計のポイントは可変・動線・視線

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設計をする上で、大切なポイントとして「可変」「動線」「視線」の3つが挙げられます。

まず、将来的に、ライフステージや家族構成の変化によって暮らし方が変わるため、可変性の高い設計にしておく必要があります。当社では、1期、2期、3期というような形で、ライフステージに伴うプラン変更についても、新築時にご説明及びご提案させていただくようにしています。現在の年齢や家族構成などによって今後のプランはさまざまですが、例えば、現在、小さなお子様がいるご家庭であれば(第1期)、第2期としてお子様が成長して子ども部屋が必要になった時、第3期としてお子様が独立して夫婦2人になった時などを想定してプランを立てます。しかし、人生は想定通りにはいかないものです。だから、あまり決め込みすぎず、自由にレイアウト変更できるようなご提案をしています。

動線は、設計士として当たり前に考えるべきことです。最近では、雑誌などでもよく特集されているため、家事動線を確保するプランというのは巷に溢れています。しかし、そこに、きちんとした意図や付加価値がないと意味がありません。

例えば、廊下の両脇が壁だとすると、そこをただ歩くだけではなく、1歩進んだら壁面収納があって、3歩進んだら小窓から光が差し込んで、というように一歩一歩の動線に意味がなければならないと思います。

そして、意外と重要なのが、視線の抜けです。例えば、飛沫防止のためにテーブルの真ん中にアクリルパネルが立っていることがありますが、閉塞感を感じませんか? これは、自分のテリトリーは、座っているイスの後ろの壁からアクリルパネルまでのスペースだと体感的に認識しているからです。やみくもに壁をつくるということは、これと同じことです。

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この反対に、視線軸をうまく利用して限られた空間を広く見せることもできます。例えば、目の前に公園の緑があるならば、その方角に窓をつくって、風景を家に取り込むと開放感が生まれます。極端な例ですが、狭いダンボールの中で暮らすとしたら、気がおかしくなってしまうでしょう。そこに、1つ窓があるだけでどうでしょう。遠くを見ることで、なんとか明るい希望が持てるのではないでしょうか。これと同じように、窓という抜けをつくることで、中と外とのつながりを適度に確保し、室内という領域を感じさせないようになり開放感が生まれます。家の間取りを考える時は、その家のことだけではなく、立地や環境も含めて考えると奥行きのある居心地のいい家ができるのではないでしょうか。

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余談ですが、土地の端から端まで、お金を払って買っているわけですから、すべて有効に使いたいところです。家の裏側のちょっとしたスペースだって無駄にするべきではありません。

例えば、北側の勝手口の横に洗濯機を置いて、壁で囲った半屋外の物干しスペースにしてはいかがでしょう。南側の通り沿いにつくると、人の目に付きやすく干しづらいですが、勝手口側ならちょうどよく隠れます。コンパクトな物置を置いて、食材の備蓄スペースにするのも良いでしょう。プレハブでは色気がないので、ログハウスのような小屋にするとすてきです。

ヒト1人も通れないスペースであっても、そこから光を採り込むことはできます。家の裏側には、だいたい隣接する建物があり、北・南の関係で、向いには南側に面した大きなリビングの窓があったりするため、外を見るのには使えませんが、北側の光を採り込むことはできます。直接、光が差し込まなくても、間接光を採り込むことだってできるのです。

自然素材の家のメンテナンス

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設計士として、最後にお伝えしておきたいのがメンテナンスのこと。自然素材の家というとお手入れが大変そうだと思っていませんか? 例えば、当社が推奨仕様にしている漆喰は100%自然素材のため、振動や湿度による木の膨張・収縮で、表面にヒビが入ることがあります。あえていうと、自然素材の家は、すべてが柔らかいのです。柔らかいのは細かい繊維があるからで、そこには水分や空気が含まれています。逆にいうと、かっちりと固まっているのは、化学的な〝何か〟で固められているということです。ビニールクロスなら粉も落ちませんが、それは石油製品だからです。プラスチックや鉄骨なら、爪で押しても無傷ですが、木は柔らかいため傷が付きます。

漆喰にヒビが入っても、表面が割れているだけのことなので、性能に問題はありません。修復も、塗り足したり、一面を塗り替えるなど簡単にできます。木の床にモノを落としてへこんでしまっても、水を含ませれば膨らみます。これが、合板フローリングだと、薄い板を接着剤で重ねて、最終的に木に見立てたプリントを貼っているものなので、傷が付いたらパテを入れたり、不自然な形で補修するしか方法がありません。無垢材は、自然の力を利用して膨らませるか、または削るかして、整えられるので、ある意味、付き合いやすいのではないかと思います。

そもそも、自然素材の家は、合板や塩ビクロスなど新建材でできた家とはメンテナンスのやり方が違うので、はじめは戸惑うかもしれません。しかし、視点を変えれば、新建材でできた家よりもメンテナンスが容易な場合も多いのです。

私たちも、お引き渡しした施主様や計画中の施主様に向けて、「メンテナンス講習会」を開催しています。メンテナンスについて、気がかりなことがあれば、遠慮なくお尋ねください。

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よくお話していることですが、壁は完全に垂直で、床はすべて平行であるべきだという考えは間違いではありません。合板フローリングやコンクリートでも完全に垂直・水平にするのは難しいですが、近い状態にはなります。しかし、天然木は、どれだけきれいに削っても、まっすぐにはなりません。木の家のメリットとして調湿作用がありますが、湿気を吸えば膨張し、吐き出せば縮みます。工業製品などプロダクトデザインであれば、まっすぐはまっすぐであるべきでしょう。しかし、自然素材の家は、天然ならではのラフさがあり、そこが魅力でもあります。

植物を育てる時も、水をあげたりあげなかったり、虫がついたらとってあげたり、陽当りに合わせて鉢の向きを変えてあげたり、様子を見ながらお世話をするでしょう。そんな感覚で、メンテナンスしていただければと思います。

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