「松尾式」設計術とは?

「松尾式」住宅設計 | 松尾設計室/技術顧問

松尾式住宅設計術とは、高断熱高気密住宅専門の建築家集団である松尾設計室(代表/松尾 和也 氏)が提唱する、「健康で快適な省エネ建築を経済的に実現する」ことをモットーにした住宅の設計手法のこと。

例えば、高断熱化することによって冷暖房費がどれだけ下がるのかを計算し、「工事費は40万アップしますが、年に4万円の冷暖房費を節約できるので10年で回収できます」というように、松尾氏が推奨するのは新築時だけでなく、30年や40年といった住宅の想定利用年数で掛かってくる総費用が最も経済的になるような住宅です。

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株式会社 松尾設計室 一級建築士設計事務所
代表 松尾 和也

設計活動の他、住宅専門紙への連載や「断熱」「省エネ」に関する講演も行なっており、受講した設計事務所、工務店等は延べ6000社を超える。

2009年パッシブハウスジャパンを立ち上げ、理事としてドイツの最先端省エネ建築の考え方を日本の気候条件に合わせる形で普及促進活動を行なっている。

この部屋に暖房は必要か?

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冬の時期、図の部屋に暖房が必要かどうか。

この問いに明確に答えられる営業マンは、ほぼいません。

設計士ですら、答えられる人はごくわずかです。

「いらないと思います」

「念のためにエアコン付けておきますか?」

概ね、このような返答だと思います。

松尾式の回答

この部屋が2階の南西角の6帖の子ども部屋、天井高2.4m、室温20℃、隣接する部屋や天井裏の室温10℃、外気温0℃、南面に掃き出し窓1つ(3.3㎡、U値2.0)とした場合。

細かい計算は割愛しますが、換気による熱損失も加味して計算すると、総熱損失量は830.0W(ワット)となります。

人が一人部屋にいるとして、窓からの日射取得熱も計算すると、76.6Wの熱量が不足します。

人一人の熱量が約100Wなので、部屋に2人いれば暖房は不要となります。

日中は日射取得熱が上がることも考慮すると、結論、「この部屋に暖房は不要」となります。

「家」に関わる月々の出費

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「家」に関わる月々の出費は、光熱費と住宅ローン(建築費)です。

つまり、光熱費と住宅ローンは必ずセットで考えるべきであり、光熱費を明確にすることで、建築費と光熱費のベストなバランスを導くことが可能です。

 

例えば、

 

■建築費2500万円(住宅ローン2500万円)、次世代省エネ基準の家の場合

住宅ローン:88,445円/月
光熱費:23,000円/月
合計:110,455円/月

 

■建築費2700万円(住宅ローン2700万円)、暖房負荷が次世代省エネ基準の半分の家の場合

住宅ローン:95,532円/月
光熱費:13,000円/月
合計:108,532円/月

 

光熱費が明確になると、上記例のように建築費を増やして断熱性能を上げたほうが、月々の支払い金額は安くなる、という計算ができるようになります。

太陽光発電や太陽熱温水を設置した場合は、イニシャルコスト(設置費)をふまえても、さらに月々の支払い金額が安くなる場合もあります。

築後年数とUA値の比較

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国の基準(H28年基準)で建てると最初の工事費は一番安くなります。

しかしながら、入居後かかってくるトータルの冷暖房費は非常に大きな角度で上がっていきます。

それよりワンランク上のG1基準(UA値0.57以下)であれば工事費は少し上がりますが、冷暖房費の積み上がり方はかなり緩やかになります。

最後に最高ランクのG2基準(UA値0.46以下)まで来ると工事費は最も高くなりますが、冷暖房費の積み上がり方は最もゆるやかになります。

トータルコストは工事費+入居後にかかったトータルの冷暖房費で計算することができます。

その年数において最もトータルコストが安くなるところを太線で引いてみました。

そうすると、10年程度までの期間は国の基準通りに建てた家がもっとも有利になります。

10年から30年であればG1基準、30年以上であればG2基準が最も安くなることが読み取れます。

無添加計画と松尾式

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2018年に松尾式住宅設計を学んで以降、無添加計画では、等時間日影図の作成からのゾーニング検討、南面と東西北面の窓の大きさや、日射取得および日射遮蔽による熱損失、燃費をQ-PEXで確認、計算しながらご提案、「太陽に素直な設計」をする松尾式の設計手法を取り入れています。

夏は小屋裏、冬は床下の家庭用エアコン1台で全館冷暖房できる高断熱・高気密仕様や、耐震等級3の取得推奨などに加え、漆喰の塗り壁や国産無垢材の構造材などの自然素材の使用にこだわった住宅をご提案しています。