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2022.3.22. TUE
エアコン選びのウソホント!知って得する効率の良いエアコンの選び方
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エアコンのカタログで見るべきポイントは「最大能力値」
私たちが快適に暮らすために必要なエアコンは、大体10~13年くらいで買い替え時期が訪れますよね。
定期的に各メーカーのカタログをチェックする方も多いのではないでしょうか。
そこでまずは、カタログから読み取れるエアコンの機能性について解説していきましょう。
下図のように、一般的な家庭用エアコンは、メーカーにもよりますが、6畳、8畳、10畳、12畳、14畳、18畳、20畳、23畳、26畳の9タイプに分かれることが多く、ほとんどの場合、14畳用を境にして電圧が100Vと200Vに分かれます。
14畳用のエアコンのみ100Vと200V両方のタイプを販売しているメーカーも少なくありません。
さて、ここで気になるのが、これらの9タイプのエアコンの能力の違いについて。
9タイプも存在するので、どれほどの違いがあるのか選ぶ際の参考にしたいですよね。
そこで注目したいのが「最大能力値」です。
カタログに記載されている「定格能力」と「最大能力」との違いを知って賢くエアコン選びをすることが大切ですよ。
今回はそんな役立つエアコン選びについてご紹介します。
見るべきは定格能力ではなく「最大能力値」
上の図はエアコンの畳数別に、とあるメーカーのカタログから「定格能力」をグラフにしたものです。
ご覧のとおり、対応畳数が大きければ大きいほど、定格能力も高くなります。
定格能力とは、そのエアコンが投入できる冷房(もしくは暖房)の標準的な時間当たりの熱量を意味し、これをkwで表記したもの。
たとえば6畳用の暖房であれば2.5kw、8畳用であれば2.8kw…というように、対応畳数に比例し、増えていきます。冷房も同様です。
しかし、ここでよく見ていただきたいのが「最大能力値」です。
最大能力値を加えたのが以下の図です。
濃い赤で塗られた最大能力値は、図の通り、6畳用も8畳用もさほど変わりないことが分かりますよね。
つまり暖房の最大暖房能力値だけで見ると…
①6~8畳用
②10~14畳用(100V)
③14畳用(200V)~26畳用
というように、9つも分類されていたエアコンもたった3タイプに分けることができるんです。
要するに、10畳用を購入するのも、14畳用(100V)を購入するのも、金額には大きな開きがあるかもしれませんが、暖房能力で言えば“同じ”であることが分かります。
そう考えると、「畳数」だけでエアコンを選んでいた場合に損をすることになってしまいますよね…。
定格能力値は、もはやカタログ上表記するために必要な数字ですから、エアコン選びの際はあまり参考にはなりません。見るべきは「最大能力値」であるということを覚えておきましょう。
冷房の場合は最大能力値に上限がある
暖房の場合、最大能力値を見るとエアコンの能力の違いがよく分かりますが、冷房の場合はどうでしょうか。
冷房の場合は、下記の図のように、暖房の最大能力値がきれいに反転することはありません。
これはなぜかというと、リミッターカットされているからです。
原付バイクを想像してみてください。
アクセルをマックスまで入れれば60キロ以上出ますが、出ないように予め設定されていますよね。
同じように冷房の場合は過剰に冷え過ぎないよう、予めリミッターカットされているので、暖房の最大能力値と反転しないということなんです。
エアコンを選ぶ際は6畳、10畳、14畳(200V)だけで十分!
これまでご説明したとおり、冷房能力に最大値を求めないのであれば、エアコンは6畳、10畳、14畳(200V)だけを購入すればよいことが分かりますよ。
無駄に対応畳数が大きい機種を高額な値段で購入する必要はないということです。
その証拠に、多くのメーカーでは26畳用のエアコンが売れ残るようになると、徐々に14畳用(200V)に近しい価格で値下げを行っていきます。
つまり、それだけ26畳用のエアコンは利益率が高いということ。
カタログをしっかり読み込んで、このようなエアコン販売の“カラクリ”について知っておくと損をしないで済むかもしれませんよ。
エアコンは畳数だけで選ばない
ほとんどの人が6畳用、8畳用といった「畳数」を基準にしてエアコンを選んでいると思いますが、この畳数表示とは、一体どこから来ているのかご存知でしょうか。
実は畳数表示は、1964年に当時の「木造無断熱平屋住宅」を基準として制定されたもので、なんとそれ以降50年以上もの間、全く変更されていません。
現在では、当時とは比較することができないほど、高気密高断熱住宅が増えていますから、対応畳数だけに囚われて選ぶと、オーバースペックになってしまうということです。
よく家電量販店のスタッフに「対応畳数相当か、ワンサイズ大きいものを選びましょう」と言われることがあると思いますが、これだとまんまとメーカーの策略にはまってしまうようなことになります。
量販店側も売上が欲しいですから、対応畳数よりも小さいものは勧めて来ません。
ですから、間違っても取り付ける部屋の畳数を言わないようにしましょう。
冷房については畳数通り必要なことも…
暖房の場合は、畳数通りのエアコンを購入してしまうと、オーバースペックになってしまうことがありますが、冷房に関しては畳数相当必要なこともあります。
たとえば、
・日射遮熱
・天井断熱
・外壁の色
など、断熱性能がしっかりされていない住宅だと、太陽熱を直に受けてしまうため、室内に熱気がこもりやすくなってしまうからです。
夏場に「暑いな」とか「冷房の効きが悪いな」と感じる家は、対応畳数通りのエアコン選びをしても良いかもしれませんね。
エアコン選びはAPFに惑わされないことが大切
エアコンを選ぶ際に知っておきたいのがCOPとAPFについてです。
COPとはCoefficient of Performanceの略で、定められた温度条件での消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力(kW)を表したものです。
左の図で言えば、450Wの電気を使えば2,500Wの暖かさになるという意味。
この場合、定格暖房COP=2,500/450=5.55倍となり、冷房COP=2,200/425=5.18倍となります。
2010年までのエアコンは、上記のように暖房・冷房それぞれでCOPを算出していましたが、2010年以降は「通年エネルギー消費率(APF)」として表示されるようになりました。
APFとは、Annual Performance Factorの略で、一年を通して、ある一定の条件のもとにエアコンを使用した時の消費電力量1kWh当たりの冷房・暖房能力(kWh)を表示したものです
このAPFの数値が大きければ大きいほど、冷暖房効率が高い=性能が良いということ。
車で言うと「燃費が良い」という意味です。
現在販売されているエアコンで言えば、「APF7.3」程度のものが、エネルギー消費効率が良いとされていますが、それはあくまでカタログ上だけのこと。
車と同じで、誰が運転するか、どの道を運転するかによって燃費の良し悪しが変わります。
実際は、カタログ上の数値よりももっと落ちるということを理解しておきましょう。
COPとAPFの違いとは?
は、ある一定の条件で年間ずっと運転した場合に、年間トータルの倍率がいくらになるか…というのを算出したものです。
室温や外気温に左右されやすいエアコンでは、APFの方がCOPよりも正確な数値を得ることができるため、現在ではAPFで表記されることが主流となりました。
その部屋に対して大きなエアコンは選ぶべきではない
冒頭でも少し触れましたが、よく家電量販店などにエアコンを買いに行くと、ワンサイズ大きなものを勧められることがありますが、エアコンの効率から言えば、決してお勧めできるものではありません。
その部屋に対して大きすぎるエアコンを使っているのは、渋滞にはまった時の車の運転と同じです。
全然前に進まないのに、エンジンはかかっていて、トロトロ運転をしているだけ…。
エアコンで言うと、温度は上がっていないのに、エアコンだけ稼働しているような状態です。
これが最も燃費が悪いんですよね。
その部屋に対して大きすぎるエアコンを選べば選ぶほど、
・初期費用がかかる
・燃費が悪い時間が増え、ランニングコストが上がる
というような状態が引き起こされるわけなんです。
つまり、エアコンを選ぶ際は、適正な容量のエアコンを選ぶことが大切だと言えます。
実際に売れているエアコンは?
これまでご紹介したとおり、エアコンは単に畳数だけでなく、様々な要素を踏まえて選ぶことが大切です。
では実際に、よく売れているエアコンとはどのタイプなのか?…というと、それは2つ。
・6畳用
・14畳用(200V)
カタログを比較すると分かりますが、一般的なエアコンは、畳数表示が小さいほどAPFが良い=エアコン効率が良いものであることが多いです。
さらに、100V→200Vに上がると、APFが良くなる傾向が強いので、同じ14畳用のエアコンも、100Vと200Vと両方販売されている場合は、200Vを選ぶとエアコン効率が良くなります。
理想は、最大能力で見た時に、14畳用200Vのエアコン1台で快適に暮らしていけるような住宅をつくること。
エアコン効率を考え、逆算して家づくりをすれば、快適さだけでなく光熱費の削減にもつながりますよ。
気を付けたい「最大暖房能力」の数値
冒頭で、エアコンのカタログで見るのは定格能力ではなく「最大能力」であることをお伝えしましたが、ここで気を付けるべきは「最大暖房能力」を試験した際の“外気温”です。
一般的には、最大能力を算出する場合、以下のような条件で試験を行います。
◎最大冷房能力…35℃
◎最大暖房能力…7℃
冷房の場合、外気温35℃だとある程度現実味のある条件で試験を行っていることがわかりますが、暖房の場合、「7℃」という条件下で試験を行っていても、実際は7℃以下のことが多いため、あまり当てにならないのです。
寒冷地ではない東京でも、最低気温7℃以下になることはよくあることですから、最大暖房能力に関しては、数値だけを鵜呑みにしないよう注意しましょう。
寒い地域ほど最大暖房能力の補正が必要!
カタログで見る最大暖房能力というのは、これまでご説明したとおり寒い地域ほど補正が必要です。
外気温4℃以下になると“デフロスト”と言って、室外機に霜が付き、部屋にただの風しか出てこない時間が増えてしまいます。
これだと暖房効率が一気に下がってしまうので注意しましょう。
ちなみに、このような“デフロスト”という現象に対応できるのは寒冷地専用のエアコンです。
室外機に霜が付いたときに溶かす機能が備わっているため、暖房効率が一気に落ちてしまう心配がありません。
その次に良いのは、各メーカーで販売されている上位機種です。
最大能力値が高いことはもちろんですが、外気温が低いなど寒さへの抵抗力が強いのが下位機種とは大きく違う点ですね。
上位機種と下位機種どちらがいいか悩んだ場合、寒冷地にお住いの方は低温時の「最大暖房能力」についても考えてみてください。
エアコンは住宅の状況に合わせて適切なものを選ぼう
エアコン選びというのは、単に部屋の畳数だけを見たり、念の為ワンサイズ大きな機種買ったりするのではなく、住宅の状況に合わせて適正なものを選ぶことが大切です。
カタログだけの数字に惑わされてしまうと、燃費が悪くなり、ランニングコストばかりかかってしまいます。
今回ご紹介したようなエアコン選びの知識を身に付け、賢く快適に暮らしましょう。
私たち無添加計画では、気密性・断熱性に優れた家づくりを推奨しています。
今回ご紹介したエアコン選びというのは、家づくりの段階から始まっているようなもの。
冷暖房効率を踏まえた家づくりをすることで、より快適で低燃費な暮らしを実現することができます。
寒い・暑いというような日頃のちょっとしたストレスを改善し、暮らしの質を上げていきましょう。
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